できればないに越したことはない航空機の緊急脱出。
もし自分が遠征時に乗った便で緊急脱出ということになればどうすればいいのでしょうか。
緊急脱出の基本
まず基本中の基本は、離陸直後に機内放送の機内安全ビデオ上映もしくはCAさんの実演でやっている通りにすることです。
そしてもし万一の事態が発生したときは、CAさんの指示に従うのが絶対です。
緊急脱出と言われたら指示に従い、シューター（滑り台）から降りましょう。
CREWでございます！ スチュワーデスお仕事日記
緊急脱出の時に持ち出せるもの
上記のANAの機内安全放送動画でもわかる通り、緊急脱出時は手に荷物を一切持ってはいけません。
キャリーはもちろん、ハンドバックもダメです。
棚に入っている荷物も取り出すのは禁止です。
なぜなら緊急脱出するということは「1秒の遅れで命に関わる」からです。
「90秒ルール」とよく言われますが、数十人〜多いと200人以上の人数を狭い通路から速やかに出さないといけません。
少し遅れたら大爆発に巻き込まれることもあり得ます。
そんな状況でゴソゴソ荷物を出している人が一人いるだけで時間のロスになり助かる可能性が下がります。
基本は「着ている上着やボトムスの、体の前面にあるポケットに入るだけのもの」が持ち出せます。
内ポケットでも構いません。
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お尻のポケットに物を入れたり、リュックを背負うのはシューター（空気で膨らませる脱出用滑り台）を傷付けるのでだめです。
ポシェットや薄型のサコッシュもダメだと言われることがあります。
体に密着したボディバッグやウエストポーチは微妙なところですが、利用する航空会社に事前に問い合わせましょう。
もしOKならば体の前に回せる物を選びましょう。
緊急脱出に備えた服装
旅慣れた人だと、緊急脱出時に備えられるよう前面にポケットの多い上着を着てそこに絶対持ち出したい物をあらかじめ入れています。
ヤバくなってから慌てて入れ替えても間に合わないこともありますしね。
中身を落としても取りに戻れませんので、ポケットがファスナーで閉められるものであれば尚いいです。
ボタンや絞りでも構いません。
寒い時はパーカーやジャケットでいいですが、暑い時はポケット付きのベストや薄手のジャケットなどが良いでしょう。
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もちろん市販のパーカーやジャケットでもいいですが、バンドグッズのパーカーでも前面ポケットの容量があってこぼれにくいデザインだったら使えます。
金具パーツが背中側についている服はやめましょう。
緊急脱出時にはハイヒールは脱いでいかないといけないので、飛行機に乗るときはペタンコ靴に履き替えていくという人もいます。
これはヒールがシューターを傷つけるからです。
バンギャだと厚底に高いヒールだったりサイドに金具がついているブーツの人も時々いますが、これも緊急脱出の際には脱いでくださいと言われる可能性もあります。
心配な時は厚底ブーツを預ける荷物の中に入れて、保安検査までに走りやすいシンプルなペタンコ靴に履き替えましょう。
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事故は離発着の時に起こりやすいものなので、離発着の時と滑走路を動いている最中には靴をちゃんと履いておきましょう。
緊急時に持っていくべきもの
何でもかんでも持って行けるわけではありません。
上着に入れるにしてもパンパンに膨らせると脱出の邪魔になるので、「絶対必要なもの」を厳選する必要があります。
まず絶対持ち出せる体制にしておいた方がいいものは「自分の財産の根幹に関わるもの」です。
特に優先度を高くした方がいいのは
- キャッシュカード
- クレジットカード
- 家の鍵（特に一人暮らしの人）
- スマートフォン
の4点です。
家の鍵は尻ポケットに入れるとシューターをガリガリしてしまう可能性があるので、キーケースに収納の上で服の前ポケットに入れましょう。
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海外遠征中はパスポート、服薬が必要な人は常備薬も必須に入ります。
常備薬が嵩張る人は、丸1日分だけでも手元にあるようにしておきましょう。
ポケットに入れて持ち出すことが困難なボリュームの多い薬や医療器具は厳しい可能性がありますので、そうした場合は救出後に速やかに「薬を置いてこざるを得なかった」ことを早めにかかりつけの医療機関や救出後に受診した医療機関に申告して対応を仰ぎましょう。
障害をお持ちの方は障害者手帳、外国籍の方は在留カードも持ち出せるようにしておきましょう。
できれば次のものも入れられるようにした方がいいでしょう。
- 身分証（マイナンバーカード、免許証等）
- 保険証
- 現金（万札優先）
- コンパクトなものであれば、財布ごと
- スマホ充電できるUSBケーブル
- 車やバイクの鍵
- 交通系ICカード
- ファンクラブ会員証
カード系は数枚程度まとめられるので持ち出しやすいでしょう。
化粧品、お店のポイントカード等は優先順位を下げましょう。
シルバーアクセなども置いていかなくてはいけないこともあります。
モバイルバッテリーや電池系は発火の恐れがあるので厳しいです。
バンギャであれば「本命のグッズも持っていきたい」と思ってしまうかもしれませんが、ポケットに入るサイズのチェキくらいが精一杯でしょう。デカチェキやフォトセットはサイズ的に厳しくなります。
チェキも買い直せるものは優先度を下げ、特典会の２ショチェキなど買い直しできない物を優先、どうしても無くしたくない、ごく少ない枚数だけを厳選しましょう。
もし遠征先で仕事をしている人であれば、絶対重要なデータは小型のSSDにバックアップしてポケットに入れておきましょう。
最近は往年のUSBメモリと大差ないサイズのSSDも多くあります。
もちろんクラウドにバックアップが可能であればそちらもこまめにやっておいた方がいいです。
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もし可能であれば、一度「これは持ち出したい」と言うものをパーカーのポケットに入れて近所の公園の滑り台などを滑ってみましょう。
ポケットから中身が飛び出したりお腹につっかえるような感触があれば、着るジャケットや持っていくものの中身を見直す必要があります。
緊急時には諦めるべき荷物
もし緊急脱出になるような事故に至った時、機体の胴体部分がある程度無事であれば荷物は後で帰ってくることがあります。
しかし機体が水没したり、胴体部分が派手に破損したり燃えてしまったりした時は棚にある荷物や預けた荷物は一緒にダメになってしまいます。
ライブ遠征だと小道具、インストなどがあれば音源やグッズなどを買ってスーツケースに入れているかもしれませんが、こういった最悪の時は諦めないといけません。
特にロリィタ系ブランドが好きな人だと高額なブランドの着替えも入っているかもしれませんが、最悪の時はどうしようもありません。
ポケットに入らないサイズのフォトセットやデカチェキ、アクスタやツアーパンフなども諦めないといけない品の方に入ります。
もちろんある程度航空会社から補償は来ますが、全額カバーはできないことの方が多いです。
重大な航空機事故は「死ぬこと以外かすり傷」が基本なので、「生きていればまた買える」という考えでいくしかありません。
遠征先で仕事をするためにパソコンやカメラなど高額な仕事道具を持参している場合、可能であれば携行品損害保険をかけておきましょう。
旅行用の保険で付けられることもありますので、契約している保険会社やクレジットカード会社に相談してみましょう。
これも全額戻らない可能性の方が高いですが丸損よりマシです。
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